デザイン探求記

大塚国際美術館〜古代編〜

古代(紀元前3000年頃〜紀元500年頃)

《鳥占い師の墓》紀元前530年頃

タイトルを見て、「今は科学的に立証されていることも、大昔は宗教や占いで解釈されていたのかな?占いって、哲学よりももっと前にあったの?」と興味を持ったのがこの作品です。

イタリア北部タルキニアにある墓室墓。
壁画で装飾されており、エトルリア人の生活習慣や、神の意志を鳥の動きで読み取る「鳥占い(オーガリー)」の様子が描かれています。

エトルリア文明(紀元前8世紀〜紀元前3世紀)

エトルリア人は、死後の世界や宗教的儀式を重んじていて、壁画には鳥占い(オーガリー)の様子が描かれています。エトルリア美術の中でも特に保存状態が良く、当時の宗教観や生活を知る上で貴重な資料とされています。

当時の人々は、自然現象や動物の行動に神聖なメッセージを見出していたようです。

そういえば、陰陽師も宗教・占い・哲学的な思考(陰陽論)を用いていましたね。科学が登場する前は、自然現象を「占い」や「信仰」で解釈していたのだろうか。

占い → 哲学 → 宗教 → 科学 と、時代と共に自然を解釈する方法が変わってきた流れがありますが、もしこの流れが続くなら、科学の次は?

未来の世界では、自然や宇宙をどのように解釈するようになるんだろう? 量子力学やAIが示す新しい視点、もしくはまたスピリチュアルな解釈が主流になるのかな…と、ワクワクしてきました!

ナイル・モザイク(紀元前2世紀頃)

今から約2200〜2300年前の作品がこんなそのまま綺麗に残っているの!?と驚いた作品です。

このモザイクは、ローマ帝国時代の都市プラエネステ(現在のイタリア、パレストリーナ)で発見されたそうです。

エジプトのナイル川の風景を描いており、エジプトの動植物や、日常生活の様子、さらには幻想的な動物まで細かく表現されています。 ローマ人のエジプト文化への憧れや影響を反映しているとも。

近くで見てみると、モザイク技法が使われているのがわかります。

・モザイク技法
小さなピース(テッセラ、tesserae)を組み合わせて、絵や模様を作り出す技法。当時は合成顔料は存在しなかったので、すべて自然の資源を工夫して利用。

自然素材を使っているおかげで、2000年以上経っても美しいまま残っているモザイクも多いそうです!


古代の絵画は、宗教、神話、日常生活も含む歴史の記録が主なテーマで、個性よりも「記録」や「奉仕」の要素が強い。

ピグメント(絵の具)は、自然の鉱物や植物から作られていて、今でも色が残っているのはすごいこと!

文明ごとに特徴があり、以下、その他の代表的な古代文明とその絵画の特徴をまとめました。

古代文明とその絵画の特徴

エジプト文明(紀元前3000年頃〜紀元前30年)

特徴: 平面的で象徴的、独特のポーズ(顔横・目正面・体横)
代表作: 「ツタンカーメン王の墓の壁画」
目的: 死後の世界や宗教儀式の記録

メソポタミア文明(紀元前3500年頃〜紀元前539年)

特徴: レリーフ中心、神々や王の勝利を描く
代表作: 「ハンムラビ法典のレリーフ」
目的: 権力の象徴、歴史の記録

ギリシャ文明(紀元前800年〜紀元前146年)

特徴: 壺絵(神話、日常生活を描く)
代表作: 「ディオニュソスの船のクレイター」
目的: 神々への信仰、物語の伝達

ローマ文明(紀元前753年〜紀元476年)

特徴: モザイク画・フレスコ画、ポンペイ遺跡が有名
代表作: 「アレクサンダー大王のモザイク」
目的: 装飾、権威の表現

中国・インド(紀元前1600年頃〜紀元500年頃)

中国: 敦煌石窟の壁画(仏教色が強い)
インド: アジャンター石窟の壁画(説話や日常生活)

デザイン探求記

2025/5/5

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2025/4/22

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大塚国際美術館〜近代編〜

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